If 例えばの話

 

 

 

If 例えばの話

 

 

 

「スリザリン!」

 

…と、あの帽子が叫んでいたら僕はどうなっていたのだろうと考えてみた。

実際に帽子が叫んだ言葉は「スリザリン」ではなく「グリフィンドール」だったんだけど。

 

まず、今、隣でダルそうに授業を受けているロンと真剣にノートをとっているハーマイオニーと僕は友達にはなっていなかったに違いない。

となると、僕は誰と仲良くなっていたのか……。

 

「…」

 

斜め前でマルフォイが頬杖とつきながら前を見つめていた。

…もしかして、マルフォイと友達にでもなっていたのかな…。

 

 

そもそも僕ってあいつの事、何も知らないんだ。

普通に嫌味を言うんじゃなくてそんな感情を捨てて話した事なんてない一度もない。

でも、もしもの話なんだけど、僕がスリザリンに入っていたら、今は違うし、ホグワーツでの生活もまったく違ったわけだ。

それでマルフォイと同じ部屋になって、「おはよう、ドラコ。いい朝だね」なんて笑顔で僕は爽やかに笑ってマルフォイも「ああ、ハリー、おはよう」なんて言ってくれたりしたかも…。

 

 

 

 

……。

 

 

馬鹿みたいだ。僕は何考えてんだろう。

もしかしてマルフォイと仲良くなりたいとか心の底で思ってるとか…?

なんて、そんな事ないよ。思うわけないじゃないか。

だって、そんな光景は例えばの話なんだから。

 

 

 

 

 

※授業は集中しようね。